貸主が海外居住者の物件と法人契約

分譲賃貸の法人契約の注意点として、貸主が海外居住者の物件のことを記事にしました。

流通している物件情報からいわゆる海外家主物件にあたる割合は少ないのですが、たまに存在することと、図面に書いてないケースも多いのでその都度確認しています。

(参考記事)分譲賃貸マンション(ファミリー向け)と借上社宅

具体的にどんな制度か確認してみます。

適用範囲

非居住者等に不動産の賃借料を支払ったとき(国税庁HPより)

上記に詳細が載っていますが、社宅に関連がありそうなのは以下のパターンです。

貸主が非居住者(≒海外居住者)や外国法人

借主が法人

で、賃貸物件を借りたときの場合です。よくあるのが海外へ転勤された方の空き家を賃貸に貸しに出すパターンです。

これに該当すると、支払う借主法人は賃料のうち20.42%を源泉徴収して残りを貸主へ、源泉徴収した分は税務署に収めることとなります。

例えば20万円の物件を借りた場合、借主法人は貸主の口座には毎月159,160円を振り込んで、残りの40,840円を毎月10日までに税務署に収めることとなります。

源泉分離をする理由

海外居住者(税務上は「非居住者や外国法人」という言い方をします)は基本的に納税義務はありませんが、

日本の土地に根付いている不動産から得た収入については、日本が税金を徴収するという考え方があります。海外の納税義務がない人にその不動産関連の税金を払えと言っても払ってもらえない可能性があるので、借りる法人にお願いするということになります。

なお、借主が個人での居住用の場合は該当しません。個人が居住用で借りるのと、法人が業のために社員用に借りる、というのは税の本質的な考え方が違うためです。

※借主が個人であっても、その個人が自身で住むか、親族が住む場合だけが源泉徴収義務がなく、それ以外の場合は法人と同様借主に源泉徴収の必要があります。

工夫ができる場合も

大手法人の場合、このような源泉処理は毎月大変手間のかかる作業なので契約ができないケースがほとんどです。しかしながら貸主から委託を受けた不動産管理会社によっては、最初から

所有者(海外)→管理会社→借主法人

と、所有者は管理会社と転貸前提の賃貸契約を結び、管理会社が借主法人と賃貸借契約を結べば、借主法人の源泉徴収は必要ありません。慣れている管理会社であれば、外国オーナーや海外転勤前の所有者様に説明して、事前にこのような紹介をして募集しているケースが多くあります。管理会社への預託管理料が増えるかもしれませんが、大手法人様に借りてもらえるチャンスがあれば検討する、というのが主流のようです。

なお所有者様は、納税管理人(所有者の代わりに確定申告をしてくれる人)を事前に選んで届け出ておけば還付の可能性もあります。

ご自宅を貸しに出す際に、フルパッケージで受託することもできますが、

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